生活科
3年生になると、エポック授業に、「生活科」という科目が加わります。この生活科は、4年生になると、「社会科」と「理科」にわかれます。その社会科と理科のおおもとになるのが、この生活科です。では、生活科では何をするのでしょうか。
生活科のエポックでは家作り、次にパン屋さん、その次にお店やさん、その次に畑づくり、という感じです。
家を作る、これには驚きますが、実際の大きさの家を作るのは無理なので、縮小(2分の1)サイズの家を作ります。でも、子供が作るには充分な大きさで、大人が作るのとかわりません。形だけ作るのではなく、本当に家を建てるのと同じ手順を踏んで家を作るのです。だから、クラスの子供のお父さんに建築家がいればそのお父さんに協力を頼むし、いなければ卒業生から探し協力を頼みます。それは身近な人だと手頃だから、というのではなく、子供達の身近な人であることが意味があるのです。
家ができあがると、そこは子供達の自由な居場所となり、そこで遊んだりします。でも、最後には壊します。せっかく作ったのに、と残念な気もしますが、この「壊す」という作業が大切なのです。実生活の中では、意識的に建築物を壊すという仕事がある、ということを学ぶのです。
パン屋さんのエポックでは、これもやはり実際にパン屋さんに行きます。仕入れて売っているパン屋さんではなく、全部そこで作っているパン屋さんです。実際に、小麦粉をひき、こねて、ねかして、こねて、ねかして・・・という作業をし、パンを焼き、数を数えてお店に出す、こういうプロセスをパン屋さんで学びます。
お店やさんのエポックでは、小さいお店に行きます。本屋さんでもおもちゃ屋さんでもいいのです。そこでは実際に商品を売って、お金の出入りを記帳して、確認するところまでやります。小さいお店でこの作業をすることで、全体の流れを見通し、そのプロセスを経験することを学びます。
こういう風にして、家を作る、食べものを作る、作られたものを売る、ということを体験します。
1年生から手芸の授業があり、もちろん男の子も編み物をします。最初は鍋つかみを作り、3年生にもなると、靴下や手袋を編んだりするまでになります。これらはすべて使うために作ります。飾っておくためではなく、ものを作り、使う、というのが大切なのです。
ここまでで「衣・食・住」の基本的なところから社会のしくみに入り込んでいきます。
シュタイナー学校では、生活科で男子・女子と区別するようなことがないので、男の子も編み物や裁縫をするし、女の子も大工仕事はするし、電気製品もいじれます。
考えてみれば当然です。なぜ日本では区別するのでしょうか。男の子だって、手先が器用で「裁縫が得意で好きだ」という人もいるだろうし、女の子だって「大工仕事や電気製品をいじるのが好きだ」という人もいます。
かくいう私がそうでした。編み物や裁縫も好きだったけど、のこぎりを使って木を切ってものを作るのが好きだったし、電気製品をいじることも楽しいのです。でも、学校では「それは男の子のもの」と決められ、授業も「家庭科」は女の子、「技術科」は男の子、と分けられていて、両方できないことに不満でした。今では、男の子が家庭科をすることもあるようですが、やはりまだ、家庭科は女の子のもの、という偏見がなくなっていませんね。
高学年になると、生活科から分かれた「園芸」のエポックで、畑仕事をします。
9年生以降には、社会実習をします。
9年生では森林実習(実際に山林の近くに泊まり込んで木を切ったり、まとめたりする)、10年生では農業実習(農家に泊まり込み、農作業をする)、11年生では障害児学校実習(障害児学校に入りこんで手伝う)、12年生では工場実習(近代的な工場へ行き、労働者になる)、という具合です。どれも数週間続きます。